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ダンケルク(その1) [映画]

2017年の本命映画の一本であろう『ダンケルク』が公開されましたね。



監督は『インセプション』や『インターステラー』のクリストファー・ノーラン。
ケネス・プラナーやトム・ハーディ、キリアン・マーフィなど
錚々たるイギリスの俳優陣が出演してます。

この映画、凄いです。
こんな戦争映画、見たことありません。
戦争映画でも、『プライベート・ライアン』のような
肉片飛び散り系じゃ無いのも良いです。

でも、後半まで息の詰まるような緊迫感は見応えがあります。

とは言っても、非常に難しい映画なので、
人によっては最後まで何だかよく分からないかもしれません。

まず、舞台は1940年のフランスのダンケルク。
前年にポーランドにドイツ軍が侵攻したため、英仏がドイツに宣戦布告します。

英仏はドイツと対峙しますが、フランス南部は要塞地帯のマジノ線があり、
その上部には戦車が通行できないと言われたアルデンヌの森があるため、
ベルギーや北フランスの平原地帯に仏軍と英派遣軍は展開します。

ところが、独軍のフランスへの侵攻はアルデンヌの森を抜けて奇襲となったため、
英仏軍は敗走し始めます。
そしてダンケルクまで追い詰められてしまいます。

ヒトラーは空軍のゲーリングに花を持たせるため、
空爆でダンケルクの英仏軍を殲滅しようとします。

映画はここからが始まり。
この映画のすごい所は、ほとんどストーリーが無く、
その場その場の状況が繋がってできている所。

陸海空それぞれに主役になる人物がいて、
単純に言えば、
陸の兵士はただ逃げるだけ、
海の一般市民の船乗りは助けるだけ、
空のパイロットは空中戦をするだけ、
なんですな。

ただ、この映画を難しくしてるのが、
陸の兵士は「1週間」の出来事、
海の一般市民の船乗りは「1日」の出来事、
空のパイロットは「1時間」の出来事として、
描いているんです。

なので、空中戦をパイロットの視点で見た後に、
船からまた同じ空中戦を見るし、
同じ掃海艇がハインケル爆撃機の攻撃で沈められるのを、
陸海空それぞれの視点で3度見ることになるんですな。

最後に主役のイギリス兵が脱出に使うボロ船も
それぞれの視点で見ることになるんですが、
その3つの視点が同じ時間軸で重なる時にクライマックスを迎えます。

この映画では、全て連合国の人々がダンケルクの時のようにそれぞれ頑張ったので、
最終的に第2時世界大戦に勝利できたのだと言っています。

面白いのは、陸にいる多くの兵士と少数で戦うパイロットで規模感も違い、
映画でのそれぞれ時間の単位の違いも、
パイロットが英雄的な活躍をしてもそれは一場面に過ぎず、
多くの陸の兵士からすれば「空軍は何をしている?」となってしまうんですな。

それぞれが頑張っていたけれども、
なかなか人には伝わっていない事も多いという事でしょうか。

ワタシ的には「伝える」と言うのが、
この映画のキーワードだと思いました。




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